民宿がビジネスホテルに役目を渡す日

何年か前にGWは北陸は金沢へ行ってきたのだが、ホテルは金沢、加賀、富山とどこもかしこもいっぱいだった。しかし、すべての宿泊施設がいっぱいだったかと言えば、それは否だと思う。小規模で運営している民宿や旅館は満室ではなかったろう。なぜ衰退していったかを列挙していきたい。

1)宿泊案内所の役目が終わった 宿泊客のアプローチ方法がかつての方法と変わってしまったからである。かつての方法と言えば、どこの温泉街にもある「宿泊案内所」であった。観光地へ赴き、泊まるところを探すために案内所まで行き、宿泊施設を斡旋してもらっていた。つまりは宿泊施設側は広告活動を行う必要もなかった。 しかし、時代は変わり、宿泊案内所の存在すら知らない人たちの方が多くなったのではないだろうか?

2)検索によるネットの台頭 その理由はネットの台頭なのだが、検索で宿泊施設を探すことがスタンダードになってしまった。ケータイは今では誰でも持っているツールだし、簡単だ。 ネットへ掲載するためにはホームページの設置や、じゃらん楽天トラベルなどなどへ掲載料金やマージン手数料。民宿をはじめ、小規模の施設がとても費用を捻出できるはずもない。

3)低価格路線の浸透 おまけにオークション宿泊券たるものまで出てきて、低料金を打ち出せるところは限られてしまっている。素泊まりだけであれば、ビジネスホテルの方が、個別の部屋だしテレビにドライヤーなど部屋の備品も充実している。 それに比べ、どちらかというとアットホームを売りにしてきた民宿は現在の時代にはミスマッチになってしまっている。価格が同額でもキレイでプライベートが保たれるビジネスホテルに流れていくのは当然なのではないかと思う。

4)経営者の高年齢化 さらにバブル期にしっかり稼ぎ、その貯えと年金でなんとなく経営出来ている、年配経営者が廃業していることも激減の理由だと思う。 何か新しい取り組みや外部招聘などには、拒否反応があると思う。今までの状態で波風立てずに、終焉を迎えたいという年配経営者の方が多いのではないか?この様子を見ている後継者が後を継ごうとは思うはずもない。

長々と書いたが、小規模の民宿や旅館の役割は終わった。その役目は全国展開をしているビジネスホテルが既に担っている。知名度の高さ=信頼を武器に、知らない、古いから冒険はしたくない。 小さいところ全てが終わったと言っているわけではない。そこにお客様に足を運んでいただき、普段と違う異空間を味わっていただけるような施設や環境を持っているところはきっと現在もお客様は来ているだろうし、支持を得ているはずだ。 施設はなくても、サービスの提供、お客様に喜んでもらえることを創造する。そしてそれらを知ってもらうためにさまざまなソーシャルネットワークを使って認知活動を行う。かなり地道なことなので時間はかかるかもしれないが。お金をかけずにできることはあるはずである。